ナリテ山



 

所在地飛騨市宮川町三川原
ナリテ山 アプローチ国道360号線宮川沿いの打保の南1.5Km
登山口標高350m
標   高497m
標高差単純147m
沿面距離周遊1.5Km(GPSデータより)
登山日2019年2月22日
天 候晴れ
同行者単独
コースタイム 国道360号線北側(40分)稜線(25分)頂上<休憩25分>(45分)国道360号線南側
登り1時間5分+降り45分=歩行1時間50分
歩行1時間50分+休憩25分=合計2時間15分



 


北側から登って南側から降りた


南側に車を駐め、トンネルを歩いて抜け、西側から取り付いた


 いつも地図を見ていて思うこと。「どうしてこんな地形が出来るのか?」 そんな地形の一つが川の流れである。神通川の下山(三角点の基準点名)と似ているのが宮川のナリテ山。周りを川に囲まれた独立峰になっている。そんな面白いところは行けるなら行ってみたい。


左奥に見える杉林のあたりが頂上

 どこから登るか? 周りは全て急峻で簡単には登れそうにない。直接登らず、南側から取り付いてコルを経由すれば登れそうだ。雪が残っているうちに決行。


古い国道360号線に車を駐める

橋を渡ってトンネルに向かう

 どうせなら縦走した方が面白い。雪の残っている北側から登って南側に降りることにした。
 南側の(今は使われていない)旧道に車を駐める。そして山の反対側(北側)までトンネルとスノー・シェッドを歩くことにした。


トンネルに入る

トンネルを抜ける

 トンネルを抜けたところに橋が架かっている。橋の先の対岸にコンクリートで壁が出来ている。そこからさらに北側に向けてトンネルを掘るようだ。


この橋の先に新しいトンネルが出来るようだ

ここからはコンクリートの壁があって取り付けない

 トンネルの出口から左に回り込み、スノーシェッドを抜ける。そこにスノーシェッドの屋根の点検道のようなものがあった。そこから取り付く。


スノーシェッドを抜けたところから取り付く

スノーシェッドの点検道だろうか?

 今回はスノー・シューズもストックも持ち込まなかった。代わりにアイゼンとピッケル、それに30mザイルを持ち込んだ。ザイルがあれば何処でも踏み込める。


雪崩防止の柵が幾重にも設けられている

45度ぐらいか?

 まずは急登の雪面に取り付く。雪は柔らかく、膝まで潜る。スノー・シューズが欲しいと思ったが車まで戻るのはめんどうだ。つぼ足で行く。


宮川と国道360号線

 こんなシチュエーション、状況が何故か懐かしい。確かな記憶はないが、子供の頃、こんなような所でよく遊んだような気がする。生活の中でこんな風景は普通だった。


今日はストックじゃなく

ピッケルを持ち込んだ


雪は腐っていて膝までもぐる 急なところは腰まで

 一歩ずつ踏み固めながら行く。場所によっては地面まで踏み抜いて底雪崩(?)みたいになる。かぶっているところは雪面が腰にまで達する。低山でも雪山の醍醐味が味わえるのはこういう山だ。楽しい。


何故か稜線近くに道があった

それも稜線から20m程だけ

 稜線の手前でいきなり道らしきものが現れた。見ると稜線に電柱がある。そこから降りてきた道は右下の方へ10mほど続いている。だがその先は消えていた。
 鉄塔を建てるためのものでもなさそうだし、雪崩止めの柵を作るためのものでもなさそうだ。何だろう?


稜線に立っている鉄塔 電線は3方向に分かれている

 稜線に立っていた電柱は三本が一組になっていて、電線が3方向に分かれている。2本は尾根を超えるためのもので、もう一本はナリテ山の方に向かっている。


尾根をコルへとたどる

コルにあったのは堀切か?

 ナリテ山へと稜線をたどる。稜線に電柱が続き、その点検道があるらしく灌木がない。ゴボルのを除けば歩きやすい尾根だった。


明らかに人工的なもの

右から回り込む

向こう側から振り返ってみる

 最低鞍部、コルに掘り割った跡があった。堀切(空堀)か? アドレナリンが全開になる。ナリテ山に山城があったのか? こんな視界の効かない所に? 誰が? 調べてみたい。ロマンが広がる。


コルからの登りは電柱の点検道か?

 コルから300m。広い大地に出る。左側に杉の植林がある。ちょっとがっかりする。がっかりと言えば電柱もある。電線はそのまま東側に降っていた。


頂上にピンクのテープでマーキング

 一番高いと思われるところにテープでマーキングする。GPSの三角点位置とも一致している。
 ここから南側への降りに雪は付いていない。それでもアイゼンを履いた。地面に食い込めば滑らない。


ここからトンネル南側入口に向かって降りる

下の見えない降りは懸垂下降と同じくらい怖い

 下が見えない降りは怖い。下が見えない懸垂下降に似ている。怖い。今回は確保者もいないし目撃者もいない。ハーネスを付け、ザイル(30m)もすぐ出せるようにした。


灌木ならいいのに茨の木でつかめない

橋が見えてくる

 灌木を伝いながら降る。灌木のないところは避ける。だが灌木かと思っていたのが茨の木で掴めなかった。いざと言うときは痛くても掴むことにして降る。


古いマーキングを発見

ブルーのマーキングも

 途中でピンクのテープを見つけた。ここをたどる人がいるんだ。そうだよな。こんな面白いところは放っておけないはずだ。だがここにマーキングする必要があるのか?


ザイルを持ち込んだが出さずにすんだ

 トンネルの上で落石防止のフェンスに行く手を遮られた。回り込んだが、結局背の低いフェンス越えになった。アイゼンがよく効いた(^_^)


このフェンス越えが今日の核心部

トンネルの肩まで降る

 最後のトンネル横が灌木のない草付きでちょっと緊張した。ここで落ちたら今までの苦労が無駄になる。トンネル入口まで戻ってホッとする。


宮川に落ちて富山湾に浮かぶような事にならなくてよかった

国道まで戻る

 ハーネスを付けたまま橋の上を歩く。通り過ぎる車がブレーキを踏んでいく。
 多分、「すごいやつがいる」じゃなく「変なやつがいる」だろう。だが最高の気分で車まで歩いた。


橋を渡って振り返る

 低山ばかり登っているとたまには高い山にも登りたいと思う。それに低い山はもう雪がない。鍬崎山が頭をかすめた。しばらく行っていない。


駐車場所に戻って今日のミッションは終了