鍬崎山



鍬崎山頂上よりのぞむ薬師岳

所在地富山市(旧)大山町
鍬崎山 アプローチ粟巣野スキー場
登山口標高600m
標   高2090m
標高差単純1490m 累計1800m(GPSデータより)
沿面距離往復14Km(GPSデータより)
登山日2020年6月3日
天 候晴れ
同行者単独
参考コースタイム
山と高原地図(昭文社)
粟巣野スキー場(4時間)大品山(3時間15分)鍬崎山(2時間15分)大品山(2時間30分)粟巣野スキー場
登り7時間15分+降り4時間45分=歩行12時間
コースタイム 粟巣野スキー場(1時間50分)大品山<休憩5分>(1時間5分)独標(1時間)鍬崎山頂上<休憩30分>(30分)独標<休憩15分>(1時間)大品山<休憩5分>(55分)粟巣野スキー場
登り3時間55分+降り2時間25分=歩行6時間20分
歩行6時間20分+休憩55分=合計7時間15分



山旅倶楽部五万図


山旅倶楽部二万五千図


山旅倶楽部二万五千図


カシミール プロパティ


 大品山に登った当日と翌日に友人が鍬崎山に登っていたことが判明した。登ったのは2人とも女性だ。心の何処かが落ち着かない。
 大品山に登らなければどうということはなかったのだが... 男のプライドが(そんなものは捨てろ←天の声)くすぐられる。


7時30分 スキー場の駐車場を出発

スキー場の真ん中を行く

 登る予定も、つもりも、なかったのに、鍬崎山に向かった。けりをつけないと落ち着かない。
 鍬崎山は昨年の2月に単独で登っている。思い出してみると積雪期に登った記憶しかない。無雪期の鍬崎山は初めてかもしれない。


右へ行けば百間滑から瀬戸蔵山

踏み跡をたどりゲレンデトップへ

 スキー場の駐車場に車を駐めて、7時半出発。ランチタイムを頂上で迎えるには早く出発しすぎてもだめだ。
 ゲレンデを縦断してゲレンデトップへ。


ゲレンデトップのリフト山頂駅 

ここから導水管に沿って行く

 ゲレンデトップのリフト終点から東側へ少し(2mほど)降って導水管の横へ行く。そこから導水管に沿ったジグの道を登る。60mほど登って導水管を横切る。


導水管を横切る

導水管を見上げる

 導水管から離れてから標高差70m、距離650mのほぼ水平道が続く。水平道の終点にあるのが真川ダムだ。


真川ダムは日本に6基しか残っていないバットレスダム

 真川ダムは日本に6基しか残っていない貴重なバットレスダムである。バットレスダムはコンクリートが貴重な時代(大正〜昭和)に工費を削減するために重力式にダム代わって作られたもの。
 コンクリートが安くなったこと、維持管理費がかさむことなどから8基しか作られなかった。
 ちなみに現在、残っているもう一つのバットレスダムはすぐ近くの小口川にある真立ダムである。


直立したブナ林

 新緑のブナ林に勝る美しい樹林帯はない。と、思う。何故かブナ林には他の雑木が少ないのもある。栃や楢が交じっていると木肌の色も、葉の大きさも違う。


ユキザサ

ツバメオモト

ヒメシャガ

 大品山の分岐から右に行けば大品山頂上。今回はここで左に折れて100mほど降る。帰りの登り返しが辛いところだ。


大品山分岐

分岐からいったん100mほど降る


ツクバネソウ

マイヅルソウ

イワカガミ

 2003年4月6日に単独で鍬崎山に挑戦した。まだかけ出しの頃で自信はなかった。大品山から鍬崎山を眺めて躊躇した。
 意を決して大品山を降り、鍬崎山を目指した。大きな立山杉まで来て諦めた。体力は充分残っていた、と思う。
 知識や技術が足りなかったのではない。単独ラッセルで未知の山に怯えたのだ。そして「どうしても登りきる」という意志力が足りなかったのだ。
 鍬崎山に来るたびにこの立山杉を見てその時のことを思い出す。ある意味、その頃の自分が愛おしい。


2003年4月6日の初挑戦で敗退した場所


ショウジョウバカマ

イワウチワ

サンカヨウ


雪が現れた

急登を終える


シラネアオイ

エンレイソウ

ミツバノバイカオウレン

 冬季は(大岩と大木のある)ここが一番の難所。両側がすっぱりと切れ落ちている急登で、この大木を左から巻くところがスリリング.
 スキーヤーもここはスキーを外してつぼ足で行く。


積雪期の最大の核心部


細尾根は続く


次のここは以外と広くて危なくない


鉄筋と鎖が設置されているが冬季は雪の下

 


ムラサキヤシオツツジ

ムシカリ(オオカメノキ)

ヤマザクラ

 独標で一息入れるつもりだったのに独標がよく分からず過ぎてしまった。次のピークで初めて独標を過ぎてしまったことに気がついた。
 頂上も近いので休憩を取らずに行くことにする。


独標手前で鍬崎山を視界に捕らえる

独標の次のピーク手前

 


独標の次のピークから鍬崎山をのぞむ

 頂上が近づくにつれ立ち止まる時間が増えてくる。疲れてきている証拠。。
 頂上付近の木の大きさを見て距離を測る。かかる時間を計算する。頂上に立つのは11時過ぎか?(実際は11時半だった)


残雪を拾っていく

頂上への最後の尾根


頂上の左側(北側)は雪がびっしり

頂上の標識

 11時30分、 頂上に出る。一気に視界が広がる。鍬崎山は独立峰なのだ。
 今日は出発してから誰にも会っていない。多分、鍬崎山にいるのは1人だけだろう。1人しかいない山というのは贅沢だが、同時に(深い山だと)怖さもある。


鍬崎山頂上よりのぞむ立山連峰


11時30分 鍬崎山頂上に出る

頂上にある二等三角点

 大品山で食べたジャムパンの残り半分をほおばる。食欲がなかったのでランチはそれだけ。


頂上よりのぞむ薬師岳

頂上よりのぞむ有峰湖

 有峰湖を見ていて気づいた。鍬崎山から南西に延びる尾根の稜線上に道のようなものが見える。いや、道にしか見えない。古道か? 何かの作業道か?


その尾根の上に道のようなものが見える


道にしか見えない 作業道か? 古道か?

 12時、頂上を後にする。今回は古い靴を選んだのでつま先は痛くない。ただ足首がローカットなので捻挫に気をつけながら降った。


独標で思わぬアクシデントに見舞われる

 独標手前で左足がつり始めて動けなくなった。2〜3分で治ったので歩き始めたら今度は右足がつり出した。
 これも2〜3分ぐらいで治った。歩き始めようと思ったが、呼吸が出来ない。苦しい。苦しいのに息が浅い。
 そして気持ちが悪い。吐き気がしてくる。立っていられなくなってリュックを担いだまま横になってしまった。
 初めての経験で何が起こったのか分からない。ふと、熱中症という言葉が頭に浮かんだ。水分をとってじっとしていたら20分ほどで歩けるようになった。
 誰も入っていない山に単独で入るのはリスクが多いのは分かっているのだが...


大品山から粟巣野への降りの見事なブナ林

 大品山の登りでまた足がつった。いつも通り左足から始まって、治ると右足がつる。大品山分岐で水分を補給する。合わせて5分の休憩。


真川ダムに戻る

粟巣野スキー場トップに戻る

 見事なブナ林を過ぎ、ダムを越え、スキー場トップに戻る。下界を見ながらゲレンデを降った。
 8Kgのリュック(降りは7Kg以下かも?)を担いで往復6時間20分(休憩時間55分を除く)はまあまあか?
 (過信は禁物←天の声)


草に覆われているがゲレンデです