夫婦山



夫婦山頂上

所在地富山市八尾町
小井波登山口 アプローチ八尾町から黒瀬谷をたどり桐谷から小井波へ
登山口標高464m
標   高784m
標高差単純320m
沿面距離往復3.8Km
登山日2021年1月2日
天 候
同行者単独
コースタイム 駐車場所【11:50】(20分)林道入口(1時間55分)松瀬峠(55分)頂上【15:00】<休憩10分>(15分)松瀬峠(40分)登山口【16:05】
登り3時間10分+降り55分=歩行4時間5分
歩行4時間5分+休憩10分=合計4時間15分



カシミール二万五千図


山旅倶楽部一万二千図


カシミールプロパティー


カシミール鳥瞰図


 自分の中で雪山の原点は夫婦山だと思っている。山を始めた頃は知識も技術もなかった。あったのは体力と気力だけだった。
 雪の夫婦山で迷いまくった。自分の踏み跡を横切ったときはパニック状態だった。途中敗退もあった。
 だからか雪の夫婦山は懐かしくて楽しい。年の初めの山行きに選ぶ理由はそれかもしれない。


小井波の道路脇に車を駐めさせてもらう 今日はハスラー

11時50分、出発

 午前中は除雪で時間をとられ、家を出たのが11時頃だった。桐谷から小井波に向かう道路は雪が深く、轍(わだち)をたどりながら走る。轍は普通車のもので、軽四にはちょっときつかった。

 小井波の除雪済みの道路脇に車を駐めさせてもらう。身支度をしていて手袋を忘れてきたことに気づいた。除雪で使ったからだった。
 リュックに入れてあった予備の手袋を使う。JACKで買ったオモチャみたいな手袋だが、ないよりはマシだ。


いきなりの膝ラッセル ちょっと気が遠くなる

 11時50分、スタート。あらためて時間が遅い(持ち時間が少ない)ことに気づく。登りのタイムリ・ミットを3時と決めた。 (頂上に届いていなくても3時になったら引き返すということ)


林道入口 (豚舎を回り込むだけで15分)

杉の木からの雪の爆弾が怖い

 豚舎の横を回り込む。いきなりの膝ラッセル。それも少し重い。一瞬、頂上を諦めかけた。
 だが、年の初めの山行きで敗退は寂しい。タイム・リミットは撤回。必ず頂上に立つと心に決める。ゆっくり攻めることにした。


杉林にはいったら膝下ラッセルになったので、少し楽になった

 登山道に入ると登りとなる。膝下ラッセルは変わらないが若干きつくなる。夏道を外さないように景色を確かめながら登る。


ここから林道を離れて左側の登山道に入る

なんとか夏道が分かる


標識を見つけるとホッとする

林道を横断


林道から盆地までは左側が杉の植林帯

盆地状のところは左側から巻く(夏道通り)

 最初のポイントは林道の横断。そこから盆地状のところまで杉林(左側)と落葉樹(右側)の間をたどる。
 盆地状の所は左側を回り込んでいく。100mほど行くと右側に大きな岩が見えてくる。幅が15mで奥行きが7〜8m。高さは5mぐらいありそうな大きな岩だ。


礫岩の大岩(15m×8m×5mぐらいだと思う)を左側から巻く

 その上にも大きな岩がいくつか現れる。それを超えてからが最初の核心部。松瀬峠までが急登で雪質によっては手こずるところだ。


ちょっとだけ顔を出したテープでも見つければ一安心

残置ロープを見つけて、また一安心

 粉雪が深く積もったようなシチュエーションが最悪。踏み出した足が元の位置まで滑ってしまったりして、前に進めない。標高を稼げない。
 今日の雪質は少し湿り気があって最悪と言うほどではなかった。


松瀬峠手前の急登が夫婦山の最初の核心部
 

ストックで軟らかい雪を崩し、硬めの雪面にたたきつけて
アンカーにする (右手は写真を撮るために写っていない)

 それでも雪壁は目の前1mぐらいのところに立ちはだかっている。そのままでは足は上がらない。
 ストックを束ねて軟らかい雪壁を壊し、出てきた硬めの雪面にストックをたたきつけ、アンカーにする。両腕の力も借りて体を持ち上げ、1歩を進める。10歩進むのに1分ほどかかる。
 池原流急登攻略法。(オリジナルだと思う)


14時5分、松瀬峠到着 2時間15分の格闘だった

 14時5分、松瀬峠に出る。一瞬、女峰に気持ちが揺れたが「一年の計は元旦にあり」(今日は2日ですが)を思い出す。予定通り男峰に向かった。


左側の男峰への尾根(東南方向)

右側の女峰への尾根(北西方向)

 男峰の取り付きが2番目の核心部。下界から眺めても分かるくらいの急登だ。ところどころにある灌木と顔を出しているザイルが頼りだ。
 間違えて直登してしまい、右下にピンクのテープを見つけて登山道に戻った。間違いなく急登だった。


急な男峰への取り付きが2番目の核心部

途中で間違えて直登してしまった

 うねった細尾根をたどると高さ20mほどの岩壁にぶつかる。ここは岩の下を左に回り込む。


中間の大岩 風穴があるようで穴があいている


この大岩は裾を左側へ巻いていく

 回り込んだ先が3番目(最後)の核心部だ。以前、ここで敗退したことがあった。左側は切れ落ちているし、灌木に積もった雪も邪魔をする。
 夏道を知らなかったので怖くて前へ進めなかった。夏道だと知っていたら突破していたかもしれない。


大岩の左側が3番目の核心部 見ただけで嫌になる

 その後の急登も気が抜けない。ストックのピック部分を岩壁に引っかけ、ホルダー部分を雪面に押しつけてホルダーにする新しい方法を思いついた。急登の最後で有効だった。 (池原流急登攻略法U誕生)


この雪壁は左側へ滑り落ちるとかなり危ない 緊張の登り

 時間がないというのはプレッシャーになる。急いだり、焦ったりして危険度が増す。そういう意味では今日の山行計画は失敗だった。安易だった。次回から気をつけよう。


見覚えのある木が見えてきた 頂上は近い

久しぶりの腿ラッセルで頂上へ

 15時ジャスト、頂上に立った。結果的にはタイム・リミット通り。結果オーライ?
 頂上は標柱も方位盤も雪に埋もれていて見えない。見えない方がうれしい。達成感がある。風がなえて視界が効いてきた。一部青空も見える。ご褒美か?


15時、頂上に到達 標柱も方位盤も雪に埋もれてしまった頂上

 ストーブとベニヤ板、スコップも持ち込んでいたが時間が足りなかった。とにかく何かお腹に詰めないと歩けない。リュックを開けてみるとカップ麺が二つ出てきた。
 前回の城ヶ平山に持っていったものだ。その日は雨でサラミソーセージを一本かじっただけだった。
 立ったまま、ベビーチーズとナッツを少し口にしただけで15時10分、頂上を後にする。


城ヶ平山が雨で食べれなかったカップ麺がリュックから出てきた
今日のカップ麺も食べてる時間がないので2個共お持ち帰り


15時10分、10分の休憩で頂上を後にする

大岩の横を慎重に降る

 降りの核心部は岩壁の降り。ここを右側に滑り落ちたら止められない。足スキーなんてとんでもない。重心を落として慎重に降った。


こんな所をどうやって登ってきたのだろう?

 登りのトレースをたどりながら降る。「こんな所をよく登ってこれた」と思うようなトレースがいくつもあった。
 松瀬峠への急降(登りで壁のような所を直登したところ)は、左側から安全に降った。


間違えて直登した男峰の取り付きを横から戻る

松瀬峠まで戻ってまずは一安心

 松瀬峠からの降りは新雪の中を駆け下りる。雪山の降り方の定番だ。雪面が硬いときは足スキーも使える。だから降りは雪山の方が夏山より早い。(今回は倍以上かかってしまった)


麓の杉林まで戻ってさらに安心

安堵感と疲れが同居しているというのは嫌いではない

 豚舎の横を通るとき若そうな女性が(若い女性も働いているんだ)ドアを開けてじっとこちらを見ていた。
 遅くまで車が停まっていたので、心配してくれていたのかもしれない。もしくは馬鹿が歩いていると思って見ていたのかも。


16時5分、駐車場所へ戻った ハスラーで超える小井波峠超えが最後の核心部か?

 16時5分、車まで戻った。車の上に積もっていた雪は5cmぐらい。小井波峠越えも大丈夫そうだ。最悪、車が立ち往生しても、豚舎から帰る人が助けてくれる。と思う。