白木峰



雲海に浮かぶ立山連峰

所在地富山市八尾町、飛騨市宮川村
白木峰 アプローチ八尾町より車で40分
登山口標高560m
標   高1596m
標高差単純946m
沿面距離往復9.8Km(GPSデータより)
登山日2021年3月3日
天 候曇り 頂上で瞬間的に晴れ
同行者伊藤、中嶋
コースタイム 大長谷温泉【8:50】(50分)取付き(40分) DT (<休憩5分>(30分) DU <休憩10分>(40分) DV <休憩5分>(20分) DW <休憩他10分>(45分)頂上【13:05】<ランチ休憩1時間>
頂上【14:05】(25分) DW <休憩他5分>(5分) DV <休憩5分>(20分) DU (15分) DT <休憩5分>(20分)取付き(30分)大長谷温泉【16:15】
登り3時間45分+降り1時間55分=歩行5時間40分
歩行5時間40分+休憩1時間45分=合計7時間25分



山旅倶楽部二万五千図


カシミール・カシバード


カシミール・プロパティ


 予定に入れていた白木峰に中嶋が参加を申し込んできた。「冬季の白木峰が見てみたい」
 単独登山からパーティー登山に切り替えた。何人かにメールを入れてみる。だが平日に山に行ける人は多くはなかった。


大長谷温泉の駐車場を借りて車を駐める

 今回も大長谷温泉の駐車場を借りる。おばちゃん(管理人)がまだ来ていなかったので、挨拶もせずに8時50分、出発。スキーヤーが1人、仁王山へ向かっていった。


21世紀の森へと林道をたどる

冬期はもちろん夏期も通行止め(土砂崩れで)


青空が広がり始めて期待が膨らんだが...


自然の融雪装置が稼働していた

橋はデブリで埋まっていた

 21世紀の森を抜けて林道に出る。杉ヶ谷の橋を渡り、100mほど進んだところで左側の斜面に取り付く。


林道から直登して細尾根に取り付いた

 この急登を登り切ると尾根に出る。しばらくは細尾根が続くが少しずつ広くなっていく。


尾根は少しずつ広くなっていく


尾根に出てからは急登はない

最初の林道との交差点T(DT)

 10時20分、最初の林道との交差点(963m)に出る。ここを(DT)とする。
 視界は100〜150mぐらいか? 見えかけていた青空は消えてしまっていた。


林道交差点(DT)からこれから取り付く尾根をのぞむ


林道交差点(DT)から林道の下山方向をのぞむ

 ただの曇りじゃなく、ガスがかかっていた方が幻想的に見えていいかもしれない。


樹氷がピンク色だったら

満開の桜の花に見えるのかもしれない


99%がブナの木だけの林が幻想的だ

 10時55分、次の林道との交差点(DU)に出た。休憩10分を入れて夏の登山口(DV)を目指す。
 250mほどで右からの夏道と合流する。そこからなだらかな広い尾根となり、きれいなブナ林が広がる。


ガスがかかった樹氷をぬけて

夏の登山口(DV)近くのピーク

 小ピークを越えた鞍部が夏道の登山口(DV)である。そこからの150mがこのコース最大の急登となる。
 雪の深いところや凍っているところが交互に現れて気が抜けない。


急登を終えた(DW)の深さ2mほどの雪の回廊

 登り切って(DW)に出る。林道の代わりに深さ2mほどの雪の回廊があった。
 回廊の縁を廻って夏道の取り付きまで来てみると凍っていて取り付けない。さらに回り込んで灌木帯を登った。


林道からの夏の登山道は凍っていて直登は無理

少し左に回り込んで尾根に出た

 後はひたすら歩くだけだ。上空は雲海になっているようで少しずつ明るくなっていく。太陽もぼんやりと見えてきた。


雲海になっているようで空は明るい

 なんという風景だろう。水墨画のようにも見える。水墨画は陰なイメージがあるが、こちらは陽のイメージだ。


いつも見られるわけじゃない風景


カメラのピントがあうかどうか、心配なくらいの淡い風景だった

 横切るはずの「林道X」はいつの間にか通過してしまっていた。雪に埋もれて分からなかった。平らな雪面に出て電波塔があったところだと気づいた。
 視界は30mぐらいだろうか? ここからは感で方向を決めて進んだ。(地図と磁石を見ろよという話だが)


電波塔があったと思われるあたりから方向が難しくなった

 ほぼホワイトアウトで雪線も見えない。降っていないことだけを頼りに進んだ。
 看板と方位盤が見えてきて頂上に出たことを確信した。13時5分だった。


13時5分、視界30mぐらいだったが

迷わずに150m先の頂上に達した


リュックも降ろさずに写真を撮りまくる2人


今日の頂上は「Vサイン」が似合います

 石の方位盤を借りてランチタイムをとった。いつのまにか雲海が下がってきて青空が広がり始めた。雲海の上に立山連峰が現れてくる。
 空に浮かぶ立山連峰。天空の立山。そんな言葉がぴったりの幻想的な眺めだった。


方位盤を借りてランチ・タイム


立山連峰が空に浮かんでいるようだ


雪原の上に雲海があってその上に立山連峰がある不思議な風景

 立山連峰は見えたり消えたりを繰り返した。時々乗鞍も見え、御岳も見えた。白山らしきものも見えた。
 見えっぱなしよりも時々顔を出す方がいいようだ。その都度、感激を新たに出来る。


きれいな風紋(シュカブラ)

 14時5分、頂上を後にする。いつまでも見ていたかったが、時間は限られている。まだ日はそんなに長くはない。それでもゆっくりと降った。


降るのがもったいなくて立ち止まってしまう

時間は2時を過ぎているのでゆっくりは出来ない

 こういう風景を何と言ったらいいのだろう? 遠くが見えないので箱庭の中にいるような錯覚に落ちいる。
 箱庭の世界は大好きだ。閉ざされた空間に守られているような安心感を覚える。


振り返れば足跡が


雲海の下にもぐっていく


たやすく造れそうもない造形物も自然は簡単に造ってしまう

 (DW)から(DV)までが降りの核心部だった。凍った急斜面に新雪が積もっている状況。慎重に降った。
 その後はブナ林を抜け、林道を交差し、取り付きまでの急降を終えれば林道歩きが残っているだけだ。


このあたりのブナ林は春の新緑の季節も素敵です


出たなキョン


林道へと降る最後の急降

デブリで埋まって道路は見えない

 尾根から林道に降るときに、なるべく安全にと思って尾根の先端部分まで行ったら余計に危険だった。少し戻ってから降った。


自然の融雪装置の道路を降る


21世紀の森まで戻る

 16時15分、大長谷温泉の駐車場に戻る。駐めていた車から温泉まで直線距離で10m。汗をかいたまま着替えずに温泉に直行した。ここは最高の登山口だ。


無事に帰ってこれたようです