青木大滝



地図に載っている青木大滝の上流にあるもうひとつの滝

所在地飛騨市神岡町
青木大滝 アプローチ飛騨市山之村から
登山口標高880m
標   高750m
標 高 差単純△130m 累積△280m
沿面距離往復7.6Km(GPSデータより)
登山日2023年11月16日
天 候晴れ後曇り
コースタイム 駐車場所【10:00】(50分)取水口分岐(5分)最終地点<熊と遭遇20分>(5分)取水口分岐<ダム偵察15分>(10分)ランチ場所【11:45】<休憩1時間5分>(40分)駐車場所【13:30】
行き55分+帰り55分=歩行1時間50分
歩行1時間50分+休憩他1時間40分=合計3時間30分



カシミール五万図


カシミール二万五千図


カシミール・カシバード(鳥瞰図)


カシミール・プロパティ


 打保谷川の青木大滝にはまだ、いくつもの謎が残っている。地図に載っている滝マークには大滝と書いてあったが大きくはなかった。
 神岡の都竹さんからいただいた写真に写っていた大きな滝は何処にあるのか?

 前回、大きな岩をいくつも乗り越え、高巻きも強いられながら大滝までたどり着いた。滝には近づけず、高巻いて見下ろすことしか出来なかった。
 二段に折れた滝は大きくはなかったが、「秘境の滝」という雰囲気を十分に漂わせていた。

 地図にはさらに650mほど上流にもうひとつの滝マークが載っている。これを見ないかぎり、「青木大滝を見てきました」とは言えない。


山之村には「中井旅館」の他に宿泊施設「やまよ」があったようだ(今は営業休止)

 地図を見ると上流の滝の近くに取水口のダムがあって、そこまでの林道(?)が載っている。
 これをたどれば上流にある滝に降りられるかもしれない。ここなら単独でも行ける。
 怖いのは熊だけだ。熊対策を十分にして行けば...でも、やっぱり怖い。


伊西の廃屋の前に車を停めさせてもらう

 林道の入口が分からずにうろうろしていたら宿泊施設のような建物を見つけた。大きな建物で看板には「ロッジやまよ」と書いてある。
 薬師岳や黒部五郎岳への登山者を迎えていたのだろうか? 窓の中の障子戸はぼろぼろになっている。もう営業は休止(廃止)しているらしい。


廃屋の玄関灯が郷愁を誘う

 畑にいた女性に林道の入口をたずねた。「昔は『土』に降りる道があった」と言う話も出た。青木峠越えの道のことだが、今日は関係ない。
 別れ際に「熊がいるから気をつけられ」と言われた。地元の人の話なので怖さが倍増した。


最後の廃屋から先は車乗り入れ禁止

取水口の点検のためか新しい轍が残っていた


「とって良いのは写真だけです」と書いてあった

ここの分岐は右を選ぶ


晩秋の雑木林がふるさと「大津山」を思い出させる


「片センノウ国有林」と書いてある

取水口の分岐から先は歩道に変わった

 熊が怖いので音楽のボリュームはいつもより大きくしてある。道路の曲がり角は、ゆっくり、そーっとのぞいてから行く。
 「片センノウ国有林」と書かれた看板があった。業務用の看板ではなく、観光用の看板のようだ。それなりにハイカーも入っているようだ。


崩壊した道に架かる鉄パイプと鉄板の橋

この電柱は何処へ続いているのか?

 道路の右側に下に降りる歩道があった。取水口に降りる道のようだ。そこへの探索は後回しにして、先を急ぐ。
 分岐から先は車の入れない細い歩道にかわった。電柱が立っている。崩壊している所は新しい鉄パイプと鉄板で補修されている。謎が深まる。


眼下に現れたのは地図に載っているもうひとつの滝らしい

 右下に大きな滝が見えてきた。これが青木大滝か? 前回、下流で見た滝よりかなり大きい。落差は10m以上ありそうだ。
 遡行してきて、この滝が越えられなくても、こちらの道路にエスケープ出来そうだ。これが分かっただけでも今日の探索の意味はあった。


突然、道の先に熊を発見

爆竹を鳴らすが近づいてくる

 沢を曲がった向こう側の道路に、何か動くものが見えた。よく見ると恐れていた熊だった。爆竹を何発か鳴らしたが、少しずつ近づいてくる。
 20mほど後退したら見通しが悪くなってしまったので、また元のところまで戻った。
 熊は見えなくなっている。逃げたのか? しばらく目をこらして斜面を見ていたら、いきなり70〜80mほど先に熊が現れた。前よりかなり近くまで来ている。
 爆竹を鳴らすが、まったく動じない。無視して近づいてくる。お前はアーバンベアか? 残念だったが、これ以上先に進むのを諦める。振り返り、振り返りしながら来た道を戻った。


熊が気になったが取水口へと降る この道を戻るときが怖い

 熊が追ってこないか、気になったがが取水ダムを見ないで帰ったら今回の偵察の意味がない。ダムへの歩道を降った。
 この道を戻るときは熊との距離が近づくという事なので、降りるのはちょっと怖かった。


貯水ダムはオーバーフローしていた

電柱はこの施設のためのものだった

 ダムは放水されていて、下流の水量が多い。この水量だったら前回は大滝までたどり着けなかったかもしれない。


ダムだけかと思ったら建物が沢山建っていた

山之村の水を全部集めた貯水ダム


ダムの上に架かっている吊り橋

この吊り橋は進入禁止ではなかった

 ダムの施設はいくつか立ち入り禁止と書いてあったが下流から上流へは通れるようになっていた。
 ダムの上に架かっている橋にも立ち入り禁止の看板はなかった。


この水量だと前回は青木大滝までたどり着けなかっただろう

 林道へは、慎重に、ゆっくり、耳をそばだてながら戻った。林道まで戻って、ほっとする。速攻で伊西集落へと向かった。


ダムへの歩道からのぞむ打保谷川


川幅は広いところで20m以上ありそうだった

 ダム放水時の増水注意の看板があった。放水するときはサイレンを鳴らすそうだが、下流にはスピーカーなどなかった。
 前回、放水されていたら、両岸が切り立った逃げ場のない川なので危なかったかもしれない。次回からは神岡鉱業(株)に確かめてから入峡した方がよさそうだ。


ダムの放水時はサイレンがなるそうだが、前回は危なかったかも..


熊の出現で最先端まで行けなかったのが残念だった


無事、山之村伊西の廃屋まで戻る

 今回は熊に行く手を阻まれて最後まで行くことが出来なかった。歩道は沢の向こうから電柱に沿ってジグを切って尾根に向かっていた。何処に繋がっているのか確かめないと気が済まない。


尾根へ向かって直登している電柱とジグを切っている歩道

 帰りに佐古に寄ってみると跡津川発電所から導水管に沿って電柱が並んで立っているのが見えた。さらに尾根の向こうへと続いている。
 貯水ダムからの電線と歩道はこれに繋がっているらしい。こんな些細なことでも分かるとうれしい。