高鳥屋山



 

所在地高山市上宝町長倉
高鳥屋山 アプローチ神岡町より国道472号線を新穂高方向に Km
登山口標高765m
標   高1247m
標 高 差単純482m
沿面距離往復5Km(GPSデータより)
登山日2024年2月13日
天 候晴れ
コースタイム 初田集落【10:20】(15分)登山口(1時間30分)ゴンバコ峠(一時間15分)山頂【13:20】<休憩55分>
山頂【14:35】<忘れ物を取りに戻る20分>(25分)ゴンバコ峠(50分)初田集落【15:50】
登り3時間+降り1時間15分=歩行4時間15分
歩行4時間15分+休憩他1時間15分=合計5時間30分



カシミール五万図


カシミール二万五千図


カシミール・カシバード(鳥瞰図)


カシミール・カシバード(鳥瞰図)


カシミール・プロパティ


 神岡町を経由して穂高や平湯方面へ向かうときによく使う国道471号線。その途中の左側斜面に集落がある。
 山に張り付くように沢山の家が建っていて、立派なお寺も見える。そういうところがなんとなく気になる。生まれ育った古里、大津山に似ているからかもしれない。
 調べてみると集落の名前は長倉で、その先に「高鳥屋山」という山があった。カシミールの地図に登山道は載っていないが、ネットには登高記録があり、登山道もあるようだ。登ってみたい。


上宝村長倉集落

 高鳥屋山の読み方はいくつかあって「飛騨の山」(飛騨山岳会)では「たかとりややま」、ネットでは「たかんとやま」とか「たかのとややま」などが載っていた。


長倉集落の除雪されている最終地点(初田集落)ま行く

行き止まりに車を停めさせてもらった

 長倉集落に入って道に迷ってしまった。広場を見つけて車を停め、身支度を終えた。
 そこへ集落の方と思われる年配の男性が通りかかった。散歩中らしい。車を停める許可をもらった後に、高鳥屋山の登山口を聞いてみた。
 もっと、ずっと上だと言う。助手席に乗って登山口まで案内してくれた。登山口は1.8Kmも先だった。「散歩中だからかまわない」と言って歩いて帰っていった。有難うございます。


黒土林道と書かれた石柱

鉄格子とその上に鉄条網があり入れない

 黒土林道の標識(石柱)を左に見ながら進むとすぐに鉄格子の扉があった。鉄格子の上には鉄条網が張ってある。通れない。
 右に回り込んでいったら深さ70cmほどの用水があり、そこの鉄格子は高さが低かった。
 ただし、上辺は尖っていて足はかけられないし、滑って落ちたらお尻に穴があく。緊張しながらなんとか乗り越えた。


右に回り込んだら乗り越えられそうなところがあった

鉄格子の上は尖っていて緊張した


黒土林道じゃない右側の林道(地図には載っていない)に入る

 黒土林道から分岐してきたと思われる林道を右にたどる。200mほど歩いた所で小さな標識を発見する。高鳥屋山の登山口だった。
 もう少し雪が深かったら埋まっていて見えなかっただろう。これに気がつかなかったら登山口は分からなかっただろう。


200mほど、たどったところで標識を発見

高鳥屋山登山口の標識だった


そこから尾根に取り付く

怪しい右への分岐があったがまっすぐ登る

 尾根筋を150mほどたどったところに1合目の標識があった。「1合目 ここは土木場 標高851m」と書いてあった。
 登山口と1合目を分けている(別扱いしている)のが気に入った。登山口を1合目としているのはなんとなく違うような気がするからだ。
 1合目から最初の右へのトラバースとなる。


高鳥屋山登山道の標識をみつけてほっとする

日当たりのいいところは土が出ている

 200mほどトラバースした後、また尾根歩きとなる。(標高は870mから935mまで)角度が付く上部はジグが切ってあった。


樹林帯のトラバースが続く

この先でまた尾根歩きにかわる


2合目は標識がなかった(ラミネートは弱い)

3合目の標識発見(これが最後)

 935mに標識があり、3合目と書いてあった。この標識が最後でそれから先には標識は見つからなかった。壊れたのか雪の下になっていたのか。
 ここから林道終点のゴンバコ峠まで急な右斜面のトラバースとなる。


高鳥屋山かと思ったが前衛峰だった


急斜面のトラバースがあるのは地図を見たときから分かっていた

 12時5分、ゴンバコ峠に出る。(無雪期はここまで車で入ることが出来る)
 時間はすでに12時を回っているのに頂上まで、まだ3分の1ぐらいを残している。今回も山を少し甘く見ていたのかもしれない。


無雪期はゴンバコ峠まで車で入ることが出来る


ゴンバコ峠の駐車場

峠から急登が始まる

 峠からが核心部。急登にとりかかる。一歩ずつ、カンジキを雪面にたたきつけて足場を固定しながら歩く。  カンジキは木製の爪が2本しかないので滑りやすい。おまけに30〜40cmの新雪の下は硬い雪なので根こそぎ滑る。


登山道のロープが見つかった

ロープは何ヶ所にも出てきた

 ところどころに出てくるロープは、コースを間違えていないことを教えてくれるので、見つけるとほっとする。
 横を見て斜面の角度を計る。三角定規の30度、45度、60度をだいたいの目安にしている。


斜度は45度ぐらいか?(45度の三角定規)


大きな岩が出てくる

尾根通しに連続で出てくる

 何か見えてきたと思ったら大きな岩だった。何故こんな所にあるのか? 次から次へと出てくる。そういう山らしい。


どこかでこんなような景色を見た気がする


急登にワカンは向いていないと思った

ストックをアンカーにしても手こずる(滑る)

 急登を終えた後、なだらかな尾根歩きが500mほど続く。そして最後は頂上直下の急登になる。こちらは60度ぐらいありそうだ。
 とにかく滑る。容赦なく滑る。ストックのアンカー、灌木、全てを利用して登った。


このあたりは60度くらいありそうだ(60度と30度の三角定規)

 最後、頂上手前の壁に出た。ここを乗り越えれば頂上は近いはず。足場も悪く、手がかりもないのでスコップを出して壁を削った。
 13時20分、壁を突破したところが頂上だった。広場があり、その上に小さな祠が建っていた。


ここを乗り越えれば頂上だ


スコップを出して削った


壁を乗り越えたところが頂上広場だった

 頂上の祠は「高須宮」とのこと。(帰ってから調べた) 昔は長倉の村人が4月の終わり頃に、ここに登って豊作を祈ったらしい。


山頂の祠「高須宮」

山頂の標識

 残念だが頂上からの展望はよくない。わずかに乗鞍岳と白山が木の間に見えただけだった。

 賽銭箱がないからか、賽銭が祠の前に裸で放置されていた。500円の賽銭もあった。何か大事なことでも祈ったのだろうか。(←余計なお世話)


賽銭が2個なくなっている?(跡だけ残っている)

東側(穂高方面)の展望はきかなかった

 前回(尾崎山)と違って時間に余裕があった。日も長くなっている。腰を下ろしてランチをとった。(前回は立ったままパンをかじっただけ)


テーブルいっぱいのご馳走(?)で乾杯


乗鞍岳だけが木の間から見えていた(白山も)

 14時15分、頂上を後にする。最初の50mほどの急降に手こずる。意図しないシリセードーに巻き込まれる。基本的にシリセードーは尻が冷たいので嫌いなのだが...
 根こそぎ雪ごと滑っているので止められない。立木にぶつからないようにするのが精一杯だった。


こんなとこ通ったっけ?

 なだらかな所に出てから気がついた。サングラスを岩の上に置いたまま忘れてきている。
 取りに戻るか、あきらめるか。あの急登はいやだ。サングラスなら、また買えば済むことだ。

 しばらく考えたが取りに戻ることにした。サングラスがもったいないと言うより、戻らなかったことを悔やみながら降るのが嫌だったからだ。


ラッセルの跡

ラッセルの跡


出来たてのバームクーヘン

午前中に作ったバームクーヘン


ワカンはスノーシューズより浮力が落ちるようだ


自分の足跡をみるのは楽しい

ゴンバコ峠からの登りの跡

 自分のトレースを見るのが大好きだ。「やったー感」を感じることが出来るからだ。完登出来た山なら、なおさらだ。ついアップするトレース写真の枚数が増えてしまう。


右側が登りのトレースで左が降りのトレース

 最後の急降をゴンバコ峠へと駆け下りた。登りのトレースと見比べる。いい感じだ。(自画自賛)


午前中のトレースが消えかけているところもあった

登山口の林道まで戻る


ふたたび今日の核心部

なんとか乗り越える

 最後の核心部。いったん用水に降りて金網によじ登る。冬靴は大きくて金網に入らない。つま先を引っかけて、腕の力も借りてなんとか乗り越えた。


ゲイトまできてみたら

 ゲイトの写真を撮っていて、看板を見ていたら「ご面倒をおかけしますが 必ずお閉めください」と書いてあるのに気がついた。
 よく見たらゲイトのクサリにカギがついていない。ゲイトはクサリを外して開けられるのだった。
 いったいあの核心部は...


「必ずお閉めください」って?

カギがない ゲイトは開けることが出来たのだった

 15時50分、車にもどる。登山口まで案内してくれた方にお礼を言いたかったが何処に済んでいるのか分からない。
 「いつも1万歩、歩きたいのに7千歩しか歩けない」と言っていた。今日は1万歩、歩けたかもしれない。お礼はそれでよろしいでしょうか?


15時50分 車まで戻る