ニコイ鍾乳洞



 

所 在 地飛騨市宮川村菅沼
アプローチ国道360号線宮川村巣之内から菅沼に入る
ニコイ大滝標高845m(落ち口)
鍾乳洞標高875m(入口)
レストラン標高935m
池ヶ原湿原標高985m(駐車場)
登 山 日2025年11月23日
天   候晴れ



カシミール五万図


カシミール二万五千図


カシミール二万五千図


カシミール二万五千図


ニコイ高原の開発
(ネットで調べた情報を要約)

 昭和初期まで集落があったニコイ高原だが、昭和37年(1962年)11月に全戸が離村してしまった。種蔵小学校ニコイ平分校もあったが、同年に閉校。
 昭和47年(1972年)に名古屋市のリゾート開発会社「(株)秀和」が300万uの用地を取得して、リゾート開発に乗り出した。
 ファミリーゴルフ場9ホール、スキー場、27コースのアーチェリーコース、貸別荘、ホテル、遊園地、鍾乳洞鑑賞施設などの建設を予定し、昭和49年4月に工事開始、昭和50年12月までに第1期、昭和53年に第2期を完成する計画だった。
 昭和49年秋に、ニコイ大滝、ニコイ大鍾乳洞を探勝するコース(全長80mの滝見橋)、レストラン、子供遊園地、アーチェリー施設、ボート池、駐車場、別荘地などを一部オープンするという報道がなされていた。
 昭和50年にプレオープンしたものの、本格開業前に工事はストップしてしまい、昭和51年4月に滝見橋と鍾乳洞とレストランだけを残し、他は未着工のまま倒産してしまった。


 集落は、痕跡は残っていないが、池ヶ原湿原から南西に500m程降った標高960m辺りの開けた所にあったのではないかと思われる。
 私がレストランを見たのは昭和55年(1980年)頃だったので、まだ新しかった。何故、山の中に真新しいレストランが使われずにあるのか不思議だった。
 その時に鍾乳洞とニコイ大滝も見た記憶がある。だがレストランと滝と鍾乳洞の位置関係の記憶は残っていなかった。



ニコイ大滝

 前回(11月12日)、ニコイ大滝と鍾乳洞の探検に出かけたのだが、鍾乳洞が見つからなかった。
 帰ってから調べたら、取水口だと思ったトンネルが鍾乳洞の入口だった。
 トンネルも怖かったが鍾乳洞はもっと怖い。迷って出てこられなくなったら、穴に落ちてしまったら、頭上から石が落ちてきたら...で、友人を誘うことにした。


9時30分 林道の空き地に車を停めて出発

崖に作られた遊歩道(?)を行く

 前回と同じところに車を停めて同じコースをたどる。きれいだった紅葉は終わっていて、晩秋の里山に変わっていた。
 滝の詳しいことは前回の(11月12日)レポートを参照してください。
11月12日ニコイ大滝 ←クリック


すぐに滝見橋が現れる

橋の上からニコイ大滝をのぞむ


落差120mの上部3分の1しか見えない



トンネル

 トンネルの詳しいことも前回の(11月12日)レポートを参照してください。
11月12日ニコイ大滝 ←クリック



滝見橋を振り返る

滝見橋の終点からトンネルに入る


全長130mのトンネル

落差が30mあり、階段もある珍しいトンネル


滝の上流部に出る

トンネルの出口から橋を渡る



火薬庫

 前回は、まだ草が生い茂っていて橋の突き当たりの左上にある火薬庫に気がつかなかった。今回はそれも探索する。
 入口扉のトタンは錆びていない。本当に50年前のものだろうか? この辺りの全てが時間が止まっているように感じられる。


前回、見逃した火薬庫を探索する

 穴は深くなく、金属製の箱があるだけだった。その奥の一段高いところに、奥行き2mほどの穴があったが特に変わったものはなかった。


トンネルを掘ったときの火薬庫らしい

中を覗くと


金属の容器があった

その奥の穴は行き止まりだった



ニコイ鍾乳洞

 火薬庫から30mほど沢をたどると県指定天然記念物の「菅沼のカツラ」がある。その対岸に見えるトンネルが今回のメインテーマの鍾乳洞である。
 前回来たときは、その位置からして取水口だと思ってしまった。


(岐阜県)指定の天然記念物「菅沼のカツラ」

 菅沼のカツラは岐阜県が昭和52年11月18日に指定した県天然記念物である。
 幹周囲8.6m、樹高30mで推定樹齢は300年以上とのこと。現在の所有者は飛騨市である。


その下の対岸にあるのが鍾乳洞


前回は取水口だと思って引き返してしまった


今回は徒渉するために長靴を履いてきた

徒渉を終え、鍾乳洞入口に立つ

 近づいてみると、出入り口は以外に大きかった。幅は1m、高さは2mほどある。
 迷って出てこられなくならないようにビニールテープを延ばしながら奥へと向かった。


左の入口(?)から入る

右は出口(?)


道に迷わないようにビニールテープを延ばしていった

中は意外に大きかった


いくつもの分岐はあるが小さいので入らない

鍾乳石に知識がないのでよく分からないが大きい


広場(?)になっている

 初めは大したことのない鍾乳洞だと思っていたが、進むにつれ規模が大きくなってくる。
 壁や天上も鍾乳洞特有の石灰岩が固まって出来た鍾乳洞特有の雰囲気が増してくる。
 いくつも小さなトンネルがあったがリュックをおろしてまで入る気がせずにスルーした。


鍾乳洞で見かける「つらら石」か?

這って行けば入れそうだったがやめた


熊に襲われた時用のヘルメットだったがここでも役にたった


カーテン状の鍾乳石


狭い廊下状の間を降りていく


まだ残っている照明器具

ここの電源はどこから取っていたのだろう?


洞窟内に沢山いたのはキクガシラコウモリ

触っても逃げないのは寝ているから?


一番奥に沢水が流れ込んだ形跡があった

こんな大きな流木まで流れ込んでいる

 奥へと降っていくと水が流れる音がしてきた。水流があるらしい。
 岩の隙間に(普通に沢で見かけるような)木片が沢山詰まっている。直径が15cmほどで長さが1mほどある流木まである。
 これは入口から入ったものではない。鍾乳洞の奥に、地下を流れている謎の川があるらしい。それも立木が流れるくらい大きな川が。
 これがあるから少しぐらい洞窟に水が流れ込んでも貯まらないのだ。
 その先にも洞窟は続いていたが堆積した多量の砂で行けなかった。(川は見つけられなかった)
 延ばしたビニールテープは一番奥までで57mの長さだった。(帰ってから検証)


この先は大量の砂が堆積していて入れなかった(入口からの距離は57m)


少しずつあがっていく


一周して(?)戻ってきて左側の出口から外へ


鍾乳洞探索終了

 もう少し探検用の身支度で来ていたら、狭いところにも入れたかもしれない。地底を流れる謎の川も見られたかもしれない。
 後ろ髪を引かれる思いもあったが、今回はこれでよしとしよう。



ニコイ大滝の落ち口

 滝の落ち口を見るのが好きだ。今までで見た1番大きな滝の落ち口は称名滝の4段目の滝だった。
 そこは3段目の滝壷でもある。素晴らしい眺めだった。その時の記録 ←クリック


称名滝4段目の落ち口 ←クリック↑


称名滝3段目の滝壷 ←クリック↑



 滝の落ち口は意外と小さいものである。ニコイ大滝も滝の落ち口の先にそのまま沢が続いているようにしか見えない。
 近づいてみて、始めて滝の落ち口だとわかる。少ない水流でも滝になると大きく見えるらしい。
 少しづつ下流が見えるまで近づいてみた。


いったん沢を降って滝の落ち口を見に行く

滝の上流に見えたワイヤロープがここにも延びている


滝の落ち口がコンクリートのように見える

これ以上前に出るのは無理だった


横から回り込んで撮影 何かが不自然だ 人工的なものを感じる

 滝の落ち口が怪しい。自然の感じがしない。コンクリートで作られた堰堤のような雰囲気がある。ワイヤーロープがあるのも変だ。
 回り込んで見て、さらにその感を強くした。滝の壁面がコンクリートで出来た堰堤のように真っ平らだった。


沢を詰めて

林道に出る

 来た道を戻らず、すぐ上に見えた林道に向かった。たどってみるとジグを切った道があった。
 林道を歩いて車まで戻り、次の目的地である廃墟となったレストランに向かった。



廃墟のレストラン

 40年ほど前、このレストランを初めて見た時は衝撃的だった。何もない山奥に「ぽつんと一軒家」みたいな感じで建っていた。
 いきなり人が出てきて、営業中の看板をかかげ、「いらっしゃいませ」と言われそうな雰囲気がただよっていた。
 だが、誰もいなかった。少し、怖かった。


40年前に見たレストランに再会

40年前は新築のように見えたのだが...


ガラスはほとんど割れている

ここは厨房だったようだ


抜けた天上

奥に入ってみる


2階にあがると

2階のテラスに木が生えていた


ほとんど使われなかったレストランのフロア


廃屋や兵どもが夢の跡

ここにどんな夢と希望があったのだろう?


作りかけのロッジと書いていたサイトがあったが

ヘリポートにも見える

 ここに一大レジャーランドを作ろうとした人達の夢が(怨念が)建物の影に潜んでいそうで怖い。
 事業を始めて、上手くいかなくて撤退したのなら諦めもつくかもしれないが、本格的に営業を始める前に倒産してしまった。
 こんなアプローチの悪いところにレジャーランドを作ろうとしたのは、(バブルの時代であったとしても)計画が甘かったとしか思えない。


池ヶ原湿原

 池ヶ原湿原が近かったので寄った。名前が私の名前「池原」に似ているので好きなのである。
 湿原を歩いてみた。花も草さえもない湿原は晩秋の淋しさを漂わせているだけだった。



近くの池ヶ原湿原に寄ってみる

季節外れで誰もいない


駐車場から100mほどで湿原に出る

湿原の上に延びる木道


春はミズバショウの群生を見にくる人でいっぱいになる


この後、流葉スキー場の裏を廻って数河峠へと抜けた

 最後は流葉スキー場の裏を廻って数河峠に抜けた。数河峠も神原トンネルが出来てから車の往来が減って、峠のドライブインも閉店してしまった。
 古民家の雰囲気がただよう大好きなドライブインだったのに...